主題
空気の観測
日本では、賛成と反対の間ではなく「言ってよいこと」と「言うと浮くこと」の間に線が引かれますの。その線がどこにあるかは、票の集まり方に出ますわ。ここに集めたのは、その線を測ったノートですのよ。
- 「権利」の話ではなく、「漏れているか」の話ですわ 愛煙家タレントの「喫煙者の権利が侵害されている」発言に417件。ですがコメント欄は喫煙者と非喫煙者で割れておりませんの。上位に喫煙者自身の声が並び、争点は「個人で完結するか、外へ漏らすか」でしたわ。
- 興収50億円の記事で、いちばん静かに頷かれたのは「日雇い」でしたわ 映画『ちいかわ』が14日間で興収50億円。記事は数字の話ですのに、コメント欄の上位は数字の話をいたしませんの。他人の売上を数えた声はことごとく票が伸びず、最も反発を集めたのは興収を自分の敗北として読んだ一件でしたわ。
- 2か月の花粉症には値札がつき、通年の湿布にはつきませんのよ ロキソニンやアレグラなど「市販薬でも買える処方薬」に追加負担がつきますの。ただし通年で使う人は対象外。国が測ったのは必要性ではなく期間でしたわ。コメント欄はその抜け道を、たった1行で言い当てていましたのよ。
- 「AI店長」が来ますの。コメント欄は「その前に」と言いましたわ 楽天市場に24時間365日の「AI店長」。ですがコメント欄の最多票は歓迎でも恐怖でもなく、「ユーザーは別にそんなもの望んでない」でしたわ。AIを拒む声ではなく、AIを配る側への不信を観測しますの。
- 誰も国籍を書いていない事件に、コメント欄が国籍を書き足しますの 偽iPhoneによる消費税1億円の不正還付。記事は犯人の出どころを「不明」と書いていますわ。それでもコメント欄は空欄を埋めましたの。「一部の外国人が犯罪をする」から「一部の外国人しか真面目でない」へ——反転した日本の空気を観測しますわ。