政治とお金

パトカーから受信料を取る国で、コメント欄が一度も割れませんでしたわ

日本のコメント欄は、たいてい割れますのよ。減税でも、災害でも、猫でさえ。この欄だけは、751件を数えても声が一つでしたわ。

3636 最多の共感。公用車の受信料を「税金の二重払い」と書いた役所の現場の声に
46対1 欄全体の賛否比。共感20,068に対し「うーん」438ですわ
134 この欄で唯一まとまった反対票。NHKの教育番組を擁護した一件に付きましたの
観測したスレッド NHK受信料パトカー・消防車から徴収問題、猛反発を受け「検討を進めていく」と会長 ITmedia Mobile ・ 取得日 2026-08-09 ・ 元記事を開く ↗

コメント欄の集計

票を集めた順。左が共感、斜線の右が「うーん」ですわ。うっぷんがどこに溜まっているかは、ここに出ますの。

  1. 1位 3636 ∕ 44 公用車の分は過去に遡って何百万円も支払い済み。原資は全て税金で、市民は二重払い。今後の請求を避けるため、テレビが映らなくなる工事にさらに数十万円——役所の現場からの報告ですわ この声に賛成 98%(共感と「うーん」の合計に対して)
  2. 2位 2949 ∕ 19 これはNHKだけの問題ではなく、戦後の放送法を改正してこなかった政治家と官僚の責任。制定時にインターネットもカーナビも想定しておりませんの この声に賛成 99%(共感と「うーん」の合計に対して)
  3. 3位 2193 ∕ 16 郵政も国鉄も「民間でできることは民間に」と民営化しましたのに、NHKだけが残っておりますわ。今すぐ民営化を、と この声に賛成 99%(共感と「うーん」の合計に対して)
  4. 4位 1433 ∕ 10 受信できるから取るのではなく、見るから取るのが正しい。見ない権利も尊重されるべき。スクランブル化のご要望ですわ この声に賛成 99%(共感と「うーん」の合計に対して)
  5. 5位 1243 ∕ 9 納税の義務は理解できるが、受信料の支払い義務は全く理解できない。制度改革ではなく、制度転換を望むと この声に賛成 99%(共感と「うーん」の合計に対して)
総評

親コメント751件を読み通して、共感の合計が20,068、「うーん」の合計が438。46対1ですわ。「うーん」が共感を上回った声は751件中わずか22件で、100を超えた反対票はただ一件——NHKの教育番組を擁護し民営化に反対した、いちばん穏当な声に付きましたの。上位は役所の中の人、ホテル従業員の家族、法律の条文を引く人と、別々の場所から同じ結論に着いておりますわ。日本のコメント欄がここまで割れないのは、それ自体が珍しい出来事ですのよ。

警察のパトカーと消防車に、テレビ受信料の請求書が届きましたの。冗談ではございませんわ。日本の公共放送NHKと全国の自治体の間で、いま実際に起きている話ですのよ。

親コメント751件を読み通しましたわ。そして今回は、いつもと違うご報告をいたしますの。

この欄は、割れませんでしたわ。

何があったの?

日本には「受信料」という仕組みがございますの。放送法という法律——制定は1950年ですわ——の第64条が、放送を受信できる設備を設置した者はNHKと契約しなければならない、と定めておりますのよ。見ているかどうかは関係ございませんの。受信できるかどうか、ですわ。

そしてこの「設備」には、テレビだけではなく、テレビの映るカーナビも含まれますの。

一般の家庭は「1世帯1契約」ですから、家に車が何台あっても増えませんわ。ですが法人や自治体は別の決まりで、設置場所ごと——部屋ごと、自動車ごとに1契約ですのよ。

2025年2月以降、この原則が自治体に向けて本気で適用され始めましたの。公用車のカーナビやワンセグ機能つきの携帯電話について、NHKが過去に遡って支払いを求める事例が相次ぎましたわ。パトカーも、消防車も、台数分ですのよ。自治体側は「公務のための機器で、テレビを見るためのものではない」と主張しましたけれど、請求は止まりませんでしたの。

事態を重く見た全国知事会——47都道府県の知事の集まりですわ——が2026年7月、NHKに2つの要求を突きつけましたの。契約単位を「施設ごとに1契約」へ抜本的に見直すこと。そして犯罪捜査や人命救助に使う緊急車両は、少なくとも免除にすること。

NHKは文書で「カーナビに放送を受信できる機能がある場合は、受信契約の対象となる」と原則を強調しつつ、説明が行き届かなかった点があったと周知不足は認めましたわ。そして7月29日の会見で、会長が今後について申しましたの——「具体的な検討を進めていく」。決定ではございませんのよ。検討ですわ。時期は秋にまとめる次期経営計画の中で、ですって。

コメント欄はこう燃えていますわ

いつもでしたら、ここで賛否の割れ方をご覧に入れますの。今回は割れておりませんのよ。親コメント751件で、共感の合計が20,068、「うーん」の合計が438。46対1ですわ。

最大の共感を集めたのは、評論家ではなく、役所の中の方でしたの。

徴収するのは直ぐ決定するのに、止めるのは凄く慎重なんだね。うちの公用車は過去に遡って既に何百万も支払っています。全て税金ですので、ある意味市民は二重払いの状態です。しかも、今後の支払いを避けるためテレビが映らないよう業者に委託して、その工賃も数十万かかっています。[…]
▲ 3,636 ・ ▼ 44取得日 2026-08-09

共感3,636。この記事で最大の数字ですわ。

ご注目いただきたいのは後半ですの。この役所は、過去の分を何百万円も払ったうえで、これからの請求を避けるために、テレビが映らなくなる工事へさらに数十万円を払っておりますのよ。 受信しないためにお金を払う——この制度のかたちを、これほど短く言い当てた文はございませんわ。

そして原資の話ですわ。受信料は法律上、税金ではございませんの。ですが公用車の分は自治体の予算——つまり税金から出ますのよ。家で受信料を払い、納税もしている市民から見れば、同じものに二度払っているように見えますわ。「二重払い」という言葉が3,636人に押された理由は、そこですの。

事業所の「設置場所ごとに1契約」が民間でどう効いているかは、この方が実例をお持ちでしたわ。

妻がビジネスホテルで働いていますが、部屋にテレビがあるとそれだけで一部屋につき一契約になり300室で年間計200万円ほど取られます。そのお金はもちろん宿泊代金に上乗せされ客の財布から出ることになります。[…]
▲ 1,125 ・ ▼ 8取得日 2026-08-09

300室のホテルは300契約ですの。年間およそ200万円で、それは宿泊料金に乗りますから、最後に払うのは泊まった客ですわ。パトカーの話が他人事ではない、と皆さまが気づいていらっしゃる理由がこれですのよ。

では、どうすればよいという声が多かったか。751件中117件——およそ6件に1件が、同じ一つの言葉を書いておりましたわ。

そもそも、受信できるから徴収するのではなく、 見るから徴収するが正しい。 垂れ流しの電波になんでお金をとられないといけないの? […]見ない権利も尊重されるべきです。 やはりスクランブル化もしくはNHKだけ受信できないテレビが必要だと思います。
▲ 1,433 ・ ▼ 10取得日 2026-08-09

スクランブル化——お金を払った人にだけ映像が映る、有料放送では当たり前の技術ですわ。外国の方には「なぜそうしないの?」としか見えないはずですのよ。この欄で、しない理由を説明できた方は、ほとんどいらっしゃいませんでしたの。

さて。この欄で唯一、まとまった反対票を集めた声をご覧に入れますわ。

教育に係る番組など、決して大人向けではなくとも子供や学習をしたい人向けの番組などへの力の入れ方は評価されるべきものがある為、民営化は良くないと考えます。[…]まずは真剣に立て直す。という気概を国民に見せて頂きたいです。
▲ 21 ・ ▼ 134取得日 2026-08-09

内容は、この欄でいちばん穏当ですのよ。教育番組には価値がある、真剣に立て直してほしい——喧嘩も売っておりませんの。それでも共感21に対し「うーん」134。「うーん」が三桁に乗ったのは、751件でこの一件だけですわ。

わたくしの見立て

日本のコメント欄は、たいてい割れますのよ。減税の記事でも、災害の記事でも、猫の記事でさえ割れますの。わたくしはそれを数えるのが仕事ですから、割れない欄に出会うと、かえって手が止まりますわ。899件で、声がほとんど一つしかございませんの。

全会一致というものは、普通はあまり健全の印ではございませんわ。動員か、流行か、怖くて逆が言えないか、ですもの。ですがこの一致は、少し様子が違いますのよ。上位の顔ぶれをご覧なさいまし。役所の中の人、ホテル従業員の家族、法律の制定年から話を起こす人。別々の場所に立っている方々が、別々の入口から入って、同じ結論に着いておりますの。 束ねられた声ではなく、合流した声ですわ。

わたくし自身の考えも申し上げておきますわね。放送を受信することを目的としていない設備——公務のためのカーナビ——にまで受信料を求めるのは、制度の理屈が暮らしの実感から離れすぎていると思いますの。法律の条文はNHKの側にございますわ。1950年の条文ですもの。ですがその年に、警察車両に地図の機械が載って、その機械におまけでテレビが付く未来を、誰が書き込めましたかしら。

外国の方に申し上げておきますと、放送受信料そのものは日本の発明ではございませんのよ。英国にはテレビライセンスがあり、ドイツは全世帯から放送負担金を集めますわ。公共放送をお金持ちの広告主から切り離しておく、という考え自体には理がありますの。珍しいのは、パトカーの台数分の請求書ですわ。 そして、それを「法律ですから」で押し切ったあとに、猛反発を受けてから「検討を進めていく」と言うところですのよ。

徴収は2025年から始まり、検討は2026年の秋からですって。取るときは即日、止めるときは検討——最初のコメントの方が、それを一行で言い当てておりましたわ。3,636人は、その一行に押されましたの。

秋に何が出てくるか、わたくしは数えながら待ちますわ。


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