「1日10万円」のディズニーに、839件が答えましたわ。いちばん多く頷かれた一行は、値段への文句ではございませんでしたの
空いたパークは、誰のものになるのか。839件のうち、賛成の23%がたった一行に集まりましたわ。そして「学生は安くして」と書いた4件には、賛成が1回も入りませんでしたの。
コメント欄の集計
票を集めた順。左が共感、斜線の右が「うーん」ですわ。うっぷんがどこに溜まっているかは、ここに出ますの。
- 1位 2747 ∕ 102 ディズニーの値上げは度々話題になるが、これだけ値上げしても客が来るのだから、運営会社の戦略としては値上げしかないだろう。そして、庶民がディズニーに行けなくなるから、一日10万円使うことに抵抗がない金持ちにとっては、混雑が緩和されるという大きなメリットがある、と
- 2位 1043 ∕ 103 ディズニー好きで頻繁に行っていたが、去年、一昨年あたりから頻度が落ちた。さすがに課金、課金ばかりで、楽しんでいるのか苦しんでいるのかわからなくなってきた。今年のハロウィンも高すぎるので別に行かなくていいという雰囲気になっている。値上がりして以前より良いサービスになればよいものの、年々イベントの飾りも縮小されて、パーク全体がキラキラだった頃が恋しい、と
- 3位 979 ∕ 183 50代の男性。若い頃は6千円くらいの印象だったが今は1万円くらい。世の中のほとんどが1.5倍の値段になっているから仕方ないとも思う。子供が小さかった頃は紙の優先券を取りに走ったのが楽しい思い出。2千円で1時間待ちを避けられるのはありがたい反面、お金で解決できてしまうのは残念な気もする。日本でいちばん和やかな空間だと思っているので、雰囲気を維持してほしい、と
- 4位 682 ∕ 32 1日10万円でも100万円でも好きに設定すればよい。ディズニーランドは娯楽施設であって生活必需品ではない。金銭的に厳しいなら行かなければいいだけで、人生で一度も行かなくても生活に支障は出ない。仮に閉園したとしても、無数にある娯楽の選択肢が一つ減るだけではないか。価格が見合わないと感じるなら別の娯楽を選べばいい、と
- 5位 643 ∕ 62 子供だった頃、父が家族分の優先券を取る役目でパーク内を走ってくれた。母が紙の券を代表して持ち、みんなで時間を確認して乗り物を待った思い出がある。いま親になって行くと、すべてが携帯の中で完結し、お金を出せば解決するようになって、子供の顔より画面を見ている時間のほうが長い。便利になった面もあるが、もう少し家族連れに寄り添ってほしい、と
親コメント839件を読み通しましたわ。押された「共感した」は合計11,804回、「うーん」は合計2,638回——82対18ですの。「なるほど」は1,902回。反対が賛成を上回った声は83件=全体の10%で、賛成票の67%は上位10件に集まっておりますわ。ただし今回、この82%は「値上げへの賛否」ではございませんのよ。頷かれた中身を数えないと、何も言えませんの。数えますと、いちばん大きいのは値上げを企業の当然の判断として受け止めた声で、94件・賛成4,539回=票の39%。次が混雑や人の多さに触れた声で80件・3,886回=33%、雰囲気や世界観が薄れたと書いた声が108件・2,909回=25%、課金や有料化そのものを論じた声が57件・2,767回=23%、日本が安い国になった・所得が上がらないと書いた声が76件・1,553回=13%、行く頻度が落ちた・もう行かないと書いた声が23件・1,157回=10%ですわ。そして賛成の23%——11,804回のうち2,747回——が、たった1件に集まっておりますの。その一行は値段が高いとは申しておりませんわ。値上げが続く理由(客が来るから)と、その結果得をするのは誰か(1日10万円を気にしない人)だけを書いておりますの。ここからが今回の形ですわ。「そうなる」と書いた声は通り、「そうあるべき」と書いた声は沈みましたの。いちばん「うーん」を集めたのは「大人1人2万円でもいい、一生に一度の特別な記念日に行くパークになるべきだ」という声で、賛成257回に「うーん」432回。「値上げは生き残りのため、仕方ないと思って受け入れてください」が賛成351回に「うーん」248回、「価値を感じていない人が来なくなればゲストの質も良くなる」が賛成26回に「うーん」72回、「貧乏人には気軽に行けない値段にすればいい」が賛成88回に「うーん」93回ですわ。客を選ぶことを望みとして書いた声は33件ございましたけれど、集めた賛成は190回=票の2%、「うーん」は186回。同じ結末でも、事実として述べれば頷かれ、望みとして述べれば沈みますの。最後に、わたくしの見立ての答え合わせですわ。混雑で雰囲気を楽しめないという見立ては当たり——混雑33%、雰囲気25%で、欄の二本柱ですの。入場者が高齢側に寄っているという見立ても、4件・343回=3%ながら票のついた声として存在しておりますわ。けれど「平日に行けば楽しめる」は5件・13回=0.1%で、この欄にはもうございませんの。そして「学生や子どもの料金を下げては」と書いた声は4件、押された賛成は0回、「うーん」が5回でしたわ。
まず、何が起きたかですわ。
東京ディズニーリゾートが、また値上げいたしますの。10月からは1日券の上限が1万2400円。そして9月1日からは、長い列を待たずに乗れる有料の仕組み「ディズニー・プレミアアクセス」が値上げされますわ。人気の3つは2000円から2500円へ、もう1つは1500円から2000円へ。しかも、この仕組みを使えるアトラクションが6つ増えますの。
記事が示した計算は、こうですわ。大人2人と子ども2人の4人家族なら、1日券だけで約4万円。人気の2つに有料の仕組みを足せば、それだけでさらに2万円近く。食事とお土産を入れると、1日で8万〜10万円に届きますの。
一方、運営会社の4月から6月の純利益は412億9700万円。前年の同じ時期より50%以上多く、この期間としては過去最高ですわ。お客1人あたりが落とすお金も過去最高だそうですの。記事の冒頭に置かれていたのは、「日本一金に汚いテーマパークやな」という一行でしたわ。
わたくしの見立てを、先に書いておきますわね。ディズニーは客が多すぎて、乗り物に並ぶ以外の楽しみ方——雰囲気をただ味わうこと——がもうできなくなっておりましたの。平日に行けば楽しめるという逃げ道はございましたけれど、会社としては成長したい。そのはざまで値段が上がり続け、もともとお金を気にする人は楽しめなかった場所が、気にせずにはいられない値段になりましたわ。ほかに楽しいものはいくらでもあり、国民のお財布は薄くなっている。学生や新社会人が来られないなら、残るのは年配の方ばかりになるのではないかしら。せめて学生は3分の1のお値段にすればよろしいのに——そう思いながら、欄を数えに行きましたの。
配信の翌日、親コメント839件(記事のコメント総数1,151件)を読み通して、ボタンを数えましたわ。
82対18——ただし、これは賛否ではございませんの
押された「共感した」は11,804回、「うーん」は2,638回ですわ。数字だけ見れば82対18。反対が上回った声は83件=10%ですの。
けれど今回、この82%を「値上げに賛成が82%」と読んではいけませんのよ。この欄には、値上げを怒る声と、値上げを当然だと言う声と、値上げを喜ぶ声が全部入っておりますわ。82対18が測っているのは、この欄が自分自身にどれだけ頷いたかでしかございませんの。何に頷いたのかは、中身を数えないとわかりませんわ。
そこで数えましたら、思っていたのと違う形が出てまいりました。
賛成の23%が、たった一行に集まりましたわ
11,804回のうち2,747回——賛成の23%が、1件の声に入っておりますの。
ディズニーの値上げは度々話題になるが、これだけ値上げしても客が来るのだから、そりゃ、OLCの戦略としては値上げしかないだろう。
そして、庶民がディズニーに行けなくなるから、一日10万円使うことに抵抗がない金持ちにとっては、混雑が緩和されるという大きなメリットがある。(引用のなかにある3文字の略称は、運営会社オリエンタルランドのことですわ。)
この一行は、高いとは言っておりませんの。言っているのは二つだけ。値上げが止まらない理由——それでも客が来るから。そして、その結果として得をするのは誰か——1日10万円を気にしない人ですわ。
つまり欄がいちばん大きく頷いたのは、怒りではなく答え合わせでしたの。混雑が減るのは、たしかに良いことですわ。ただしその「空いたパーク」は、押し出された人のものにはなりませんの。残った人のものになりますのよ。2,747回のボタンは、そこを言い当てた一行に押されましたわ。
2位は、静かに離れていく人でしたわ
ディズニー好きで頻繁に行ってましたが、去年、一昨年あたりから頻度が落ちました。
さすがに課金、課金ばかりで楽しんでるのか苦しんでるのかわからなくなってきましたね。
[…]パーク全体、どこ見てもハロウィン、イースターでキラキラだった頃が恋しい。
ここ数年で好感度(?)が下がる一方です。「楽しんでるのか苦しんでるのかわからなくなってきました」。1,043回ですわ。行く頻度が落ちた・もう行かないと書いた声は23件で、集めた賛成は1,157回=票の10%。声を上げて抗議するのではなく、回数を減らして黙って離れていく——これは前にも見た形ですの。
「そうなる」には頷き、「そうあるべき」には頷きませんでしたわ
いちばん多くの「うーん」を集めたのは、これですの。
大人1人20,000円中人15,000円小人10,000円でもいい。
比較的落ち着いて楽しめるようになればいいと思う。[…]オリエンタルランド側が…というより、利用者側の意識を変えるしかないんだと思います。家族旅行で…ではなく、「一生に一度」「特別な記念日」に行くパーク。になるんだと思う。賛成257回に対して、「うーん」432回。同じ列に並べてみますと、形がはっきりいたしますわ。
「値上げは生き残りのためだから、仕方ないと思って受け入れてください」——賛成351回、「うーん」248回。「価値を感じていない人が来なくなれば、ゲストの質も良くなる」——賛成26回、「うーん」72回。「貧乏人には気軽に行けない値段にすればいい」——賛成88回、「うーん」93回。客を選ぶことを望みとして書いた声は33件ございましたけれど、集めた賛成は190回=票のわずか2%で、「うーん」が186回ですの。
いっぽう1位の一行は、これとほとんど同じ結末——庶民が行けなくなり、金持ちが空いたパークを手に入れる——を書いて、2,747回頷かれておりますわ。
違いは言い方だけですの。「そうなる」と書けば通り、「そうあるべき」と書けば沈む。日本のコメント欄はよく「本音が出る場所」と言われますけれど、ここで起きているのは逆ですわ。同じ本音でも、望んだ形にした瞬間に票が引っ込むのですの。
当サイトでも、興行収入50億円の記事でいちばん静かに頷かれたのが「日雇い」の一行だった欄を数えましたわ。あのときも、誰かの懐を裁く声より、誰がどう損をしているかを言い当てた声に票が集まっておりましたの。
わたくしの見立ての答え合わせですわ
当たっていたところから書きますわね。
混雑や人の多さに触れた声は80件・賛成3,886回=票の33%。雰囲気や世界観が薄れたと書いた声は108件・2,909回=25%。この二つが欄の柱ですから、「乗り物以外の楽しみ方ができなくなっていた」という見立ては、票の上でも立っておりましたわ。
来る人が高齢側に寄っているという見立ても、票のついた声として見つかりましたの。
[…]ディズニーはもう確実に高齢富裕層や外国人向けの場所になってしまった。高校生や大学生が仲間や交際相手と思い出を作る場所ではなくなった。
あと20年経つと確実に厳しくなるね。
20年後の40代50代の大半の人々にとって愛着のある場所では無くなってるから。ただし、そう書いた声は4件・343回=票の3%ですの。欄の隅にある心配ですわ。
外れていたところも、正直に書いておきますわね。
「平日に行けば楽しめる」は、もうございませんでしたの。 平日に触れた声は5件、集めた賛成は13回——票の0.1%ですわ。しかもそのうちの1件は、平日でも人気の乗り物は120分待ちだと書いておりますの。わたくしが逃げ道だと思っていたものは、この欄では逃げ道として扱われておりませんでしたわ。
そして、いちばんこたえたのがこちらですの。
学生や幼児小児は安くしてあげて、その分オトナはガッツリ高くしてほしいですね。
家族連れや学生が楽しめる場所であってほしいと思います。賛成0回、「うーん」3回。同じことを書いた声は全部で4件あって、4件合わせても賛成は0回、「うーん」が5回ですわ。11,804回のボタンが押された欄で、1回もございませんの。
わたくしが「せめて学生は3分の1に」と思いついた案は、日本のコメント欄では票になりませんでしたわ。値段を上げる話には4,539回、混雑の話には3,886回。誰かのために値段を下げる話には、0回。 数えてみるまで、こんなにきれいにゼロだとは思いませんでしたの。
これも、前に数えた欄と同じ形ですわ。消費税を下げる話で「財源は?」を国民のほうが心配していた欄を数えたときも、値下げを望む声より、値下げできない理由を代弁する声のほうがずっと大きうございましたの。
外国の方へ——日本でディズニーに行くときの話ですわ
最後に、持ち帰れるものを置いておきますわね。
いま東京のパークは、平日に行けば安いという場所ではございませんの。値段は日によって変わりますから、行く日を選べる方は日付ごとの料金を先に見比べてくださいまし。1日券のほかに、人気の乗り物を待たずに乗るための有料の仕組みが1回2000〜2500円かかり、9月からは対象が広がりますわ。4人家族で1日8万〜10万円という記事の計算は、誇張ではございませんの。
そして、日本の側の空気も知っておいていただきたいのですわ。この国のコメント欄は、値上げそのものにはあまり怒りませんの。怒らない代わりに、誰が押し出されて、誰が空いたパークを手に入れるのかを、はっきり口にいたしますわ。11,804回のボタンのうち2,747回が、その一行に押されましたの。
夢の国の入り口で、いちばん静かに正確な言葉を言うのが、いつも日本のコメント欄ですわ。
引用はすべて原文ママで、出典を明記し、投稿者名は伏せています。引用は論評に必要な範囲に限っています。訳はわたくし。元記事は配信終了により閲覧できなくなる場合があります(取得日を記載)。本記事の主体は筆者の論評ですわ。