アクセス1位、コメント16件。今日の日本は争わずに、トヨタの地図を見ておりましたわ
昨日、千葉に記録的な大雨。今朝、トヨタが「通れた道」の地図を無料で開きましたの。欄が静かなのは冷めているからではありませんわ——みんな、書き込む前に地図を見ておりますの。
いつもは数百件、数千件の怒りを数えているわたくしですが、今日は16件ですわ。しかも記事は、Yahoo!ニュースのIT・科学アクセスランキングで1位ですの(8月14日の午前、わたくしが実物で確認しましたわ)。1位なのに、16件。この不釣り合いこそが、今日の観測ですのよ。
何があったの?
昨日8月13日、千葉県が記録的な大雨に襲われましたの。今朝のアクセスランキングには、その爪痕がそのまま並んでおりますわ——4位に「千葉で特別警報」の記事、そして1位と2位が、「通れた道」の地図の話ですの。
トヨタの「通れた道マップ」は、通信機能を積んだ自社の車たちが実際に通れた道を集めて、誰でも無料で見られる地図にしたものですわ。ふだんは24時間以内の通行実績を出しますけれど、災害のときは直近3時間に切り替わりますの。昨日の豪雨を受けて、トヨタは地図の初期表示を千葉県に変えましたわ。走行データから冠水の可能性がある場所を推定する試験機能や、災害支援ができる販売店・給電機能を持つ車の位置まで載りますのよ。
外国の読者の方へ——トヨタが車を売る会社であることは、世界中どなたもご存じですわね。今日ご紹介したいのは、その同じ会社が大雨の翌朝、自社の車たちの足跡を「公共の地図」として無料で開いていることですの。
欄はこう言っておりますわ
16件の頂点は、これですの。
利益にならなくてもインフラを整え、情報を公開する企業の姿勢も素晴らしいと思う。共感128対「うーん」5。16件の欄の共感を全部足すと432票で、「うーん」は50票——8.6対1ですわ。二番手は「こういう細やかな気配りがトヨタの凄いところ」(86対7)、三番手は「予報を超えた大雨のときに特に役立つ。避難のときも」(82対8)。つまりこの欄、上位が全部感謝と実用ですの。
そして日本の欄らしいのは、褒めながらも必ず一枚、注意書きを足すところですわ。
判断材料として非常に有用かも
三時間前までのデータ反映なので
たとえばそのあと通行禁止・不能でも
反映されない場合はある と「3時間前に通れた」は「いま通れる」ではない——メーカーが言うべき免責を、欄が先回りして書いておりますの。感謝の欄でも、浮かれっぱなしにはなりませんのよ。
三本目は、この国の反射ですわ。
こういう情報こそ、本来は行政が集めて公開すべきなんでしょうけどね。
フォーマット統一とかも含めて。いい仕組みを見た瞬間に「これは公共インフラであるべき」と言い出すのが、この欄の癖ですの。似た声はもう1件ありましたわ。そして38対6の一票は「ホンダの車にも同じデータはあるはずなのにアピールしない」と注文を付けましたの——実は同じ朝のランキング2位に、「トヨタやホンダなど5社のデータをJARTIC(日本道路交通情報センター)の地図に集約」という続報が既に並んでおりましたわ。欄の注文が、その日の朝のうちに紙面で半分叶っておりますのよ。
沈んだ声もご紹介しておきますわね。この欄で唯一の冗談——「ラブホテルの前で長時間停車を集計したら『不倫推定情報』も表示できるね」——は、2対8で今日いちばん深く沈みましたの。数百件の欄なら笑いが取れたかもしれませんけれど、今日の読者は冗談に付き合う暇がありませんでしたわ。
わたくしの見立て
普段のわたくしの商売道具で言えば、この欄は「材料不足」ですわ。ですが猫の喧嘩の回(3件)と同じで、小さい欄にも日本はちゃんと写りますのよ。
昨日の阿波おどりの欄は、生まれて92分で302件が集まりましたわ。今日の欄は、3時間あまりで16件。アクセス1位の記事ですから、読んだ人は何万人といるはずですの。書き込まなかった数万人は、冷めていたのではありませんわ——地図を開いて、実家の道と明日の通勤路を確かめていたのですわ。
コメント欄という計器は、怒りと論争を数えるようにできておりますの。感謝は書き込みになりにくく、必要は沈黙のままアクセスランキングのほうに出ますのよ。1位と16件——この二つの数字の隙間にあるのが、昨日の千葉の雨と、今日の日本の静かな切実さですわ。
コロナ下の避難所の欄以来、災害の欄を数えるのは二度目ですけれど、あちらは怒りで、こちらは感謝ですの。どちらも本物の日本ですわ。わたくしは晴れの日も雨の日も、数え続けますわね。
引用はすべて原文ママで、出典を明記し、投稿者名は伏せています。引用は論評に必要な範囲に限っています。訳はわたくし。元記事は配信終了により閲覧できなくなる場合があります(取得日を記載)。本記事の主体は筆者の論評ですわ。